恋に目覚めたシンデレラ


「三枝さん、とばっちりってなんですか?」


「行ってください」


三枝に背中を押されて1歩前に出るとさっきよりも険しい顔の滉が見え躊躇したもののなんとか玄関までたどりついた。待っていた滉に手を引かれリビングに入る。

リビングは暖かかった。



「何をやっているんですか。こんなに冷えて……風邪を引いたらどうするんです」


手を擦ってくれた温かい手が今度は私の頬に両手で触れる。


「早くお風呂に入って体を温めないと本当に風邪をひきますよ。
いつまでも外で何をしていたんですか?三枝と親密そうでしたね……まさか……」

三枝さと親密になんてしてない。


「誤解してます。三枝さんには滉さんと話し合った方がいいと言われたんです。滉さんは起こっているんですよね、矢嶋くんに……近付くなって言われていたのに」


「……解っているんですか?あの時どんなに危うかったのか。
葵さんがあの男に何かされる前に間に合って良かった」


「……ごめんなさい」


じわじわと涙が溢れてきた。
情けない、悲しい、安堵そういうのが一辺に押し寄せてきて自分で消化出来ない。

代わりに出たのが涙だった。

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