藍色の瞳
「理玖さんがここに来るのは久しぶりですね。」
「そうだね。俺が卒業したのは碧がまだ下っ端の時だったからな。」
「でも、卒業してからもたまに顔出してましたよね?」
「出してたね。あの頃はまだ忙しくなかったし、それに新も下っ端だったしね?」
「どーゆーことだよ、兄貴」
碧との懐かしい話を邪魔された俺は、皮肉たっぷりに言い返す
「どーゆーことって…
新が副総長してるloupなんて怖くて見に来れないよ。」
「……一発殴らせろ」
「殴れるものなら」
新と俺の言い合いが始まったらキリがない
それが分かっている碧は止めるのすら面倒なのか眼鏡のレンズを拭き始め、陽斗はお菓子を食べ出す始末
「…理玖、新」
「「っっ!!」」
いつまでも言い争っている俺達を止めたのは、他でもない柊雅だった
「……若」
「……」
普段止めることなんてしない柊雅が発した、静かな重みのある声に
碧は思わず“若”と漏らし
陽斗は口に加えていた駄菓子をポロッと落としてしまった
俺としたことが……少しはしゃぎ過ぎてしまったらしい
ここに来た本来の目的を見失いつつあった
「悪い」
「すみません、柊雅さん」
「………」
頭を下げた俺達に、柊雅は何も言わなかった