私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

すれ違い


「秋奈~!帰ろうぜ!!」

 HRが終わってしばらくすると教室に飛び込んできた夏。

 六花も荷物をまとめて帰る気満々だった。

「ごめん。瞬に部活来いって言われてるから…」

「え?今日は志季の様子見がてら行くって言ってなかったか?」

「夏、ごめんだけど先に行ってて?瞬の機嫌直ったら私もすぐに行くから」

「瞬桜が機嫌悪い?…珍しいこともあんだな。まぁいいや。六花、行こうぜ」

「…秋奈」

「大丈夫。六花も行って?」

 夏に引きずられながら六花も渋々教室を出て行く。

 1人残った教室で、そっとため息を吐いて、かばんを持つ。

 行かなきゃ。瞬の機嫌がこれ以上悪くなる前に。

 教室を出て、昇降口で靴を履き替えて道場に向かう。

 もちろん他の部活の子に声をかけられたけど、全部あしらってさっさと道場に来た。
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