ある日、パパになりました。
一方、そのころ優羽はというと・・・珍しく部屋の掃除をしていた。元々狭いアパートなので掃除自体は1時間位で終わった。ただ一つの部屋を除いて。優羽以外まだ誰も入ったことのない部屋。何があるのかも優羽以外誰も知らない秘密の部屋。優羽がその部屋の襖の取っ手に手をかけたその時、机の上に置いていたスマホが鳴った。かけたその手を離し、スマホを取る。そこには、
「優羽ちゃん、今日の10時に編集部に来てね。編集長がemeral成分がなくなったって五月蝿いの。どうにかして!もう、大変で、私達じゃ抑えられないの!」
と悲痛な訴えが綴られていた。あいつも苦労してんな。とか、他人事のように思いながら、
「はいはい、了解。頑張ってな」
と、さって打って返す。そして、時計を見ると、9時半を回っていた。
「ったく、掃除は、また今度かよ」
と、軽く毒づきながらも着替えるために隣の部屋に入る。

――――――10分後――――――

お出かけ用の服に着替えた俺は(普段着はアニT)、荷物をリュックに詰めて、家を出た。もう、4月の半分を過ぎ、アパートの周りの桜も散って葉桜になっていた。俺は葉桜の方が好きだけど。まぁ、それはよくて、外に出てわかったのだが、今日はとても過ごしやすい気候ということに。俺は春の心地よさを肌で感じながら、駅へと向かった。今日、車はお預け。都会の道路は混むからね。俺が住んでいるアパートから編集部があるビルまでは徒歩と電車で20分程。近いとも遠いとも言えない微妙な距離のような気がする。だから、車を使うのも、躊躇われるんだよなぁ、そんなことを考えながら歩いている優羽だった。
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