囚われのサンドリヨン ~御曹司様のご寵愛~【番外編を追加しました】
私は、頷いた。

オンボロな部屋、古ぼけたコタツの横で。

彼がフワリと私を覆う。

私はただただ息を呑む。

今日2度目の口づけは、先程よりずっとスムーズで、徐々に彼の動きに合わせることができた。

が…

「……何でムネからハンカチが出てくるんだ」
「エッ、ちょっと余っちゃって…」

「ち、ちょっ…く、擽ったい!そんなトコ…」
「静かにしとけ、死んだマグロのようにだらりと寝そべっとけ」

「やだな、何かアカチャンみたいですよ?カチョー……」
「うるさい。喋るな」

「ちょっと、だめ、カエルさんみたいですっ、や~っ、最後の砦、パンツ取らないでぇっ‼」

「穴開けるぞ‼」

「……カチョー……イタイ……」 
「………悪い」


彼の大人力、色気をもってしても、ロマンティックの片鱗もないままに。

何とかその夜、私達は結ばれた。


深夜___

いつの間にやら移動した、2人には小さすぎるシングルベッド。

軋むような身体の痛みと火照りに眠れない私は、パーティのシャツのまま寝息を立てる彼に、ソッと寄り添ってみる。

なんて哀しい人なんだろう…

人の羨む全てを手にし、その実何も持っていない。


涙が一筋、頬に伝った。
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