囚われのサンドリヨン ~御曹司様のご寵愛~【番外編を追加しました】
そんな蜜月が続いていたある日、とても困った出来事が起こってしまった。

それは、会社での事だ。

うちはかなり大きなグループ企業で、人事異動も頻繁にある。
今年は課でも5人くらいの入れ替わりがあり、今日は歓迎会のお花見だった。

新入社員は入らず、相変わらず最下っ端の私は、朝から場所取り。
8分咲きの桜の下、ボンヤリと春霞の空を眺めていた。

春という季節はちょっとだけ眠たい。

ま、昨夜も未明まで彼と過ごしてしまったからなんだけど……

午後の陽気に誘われて、私はいつの間にやらウトウトと、桟敷の上で眠ってしまっていた。

「……四葉?…四葉サン?」
「はっ!……香河センパイ」

「ハハハ、もう2年目だろ、皆と同じ『キブンさん』でいいよ」

彼は私の隣に腰掛けると、コンビニ袋を差し出した。

「もう昼休憩だ。飯、困ってないかなって。差し入れ」

「ウワー、ありがとうございます」
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