囚われのサンドリヨン ～御曹司様のご寵愛～【番外編を追加しました】

………数分経過。

「ミミがイタイ」
「……スミマセン」
　
再びソファに座り直した我々。
彼はぐったりと私の膝に頭を乗せて横になり、私は耳のあたりを撫でる。

こんなときの彼は大人しく、されるがままになっている。
　
やがて私は彼に諭すように言った。

「あのね、カチョー……あなた、ハッキリ言って、怖くないかと言えば…怖い時もあります。ってか、ほぼ怖いです」

「…そうか」

「でもね、人にはどうしても纏(まと)う雰囲気ってもんがあると思うんです。
貴方は人を統べるお方、それはきっと必要で身に付けたもの。だけど私は…」

一呼吸置く。

「そうじゃない時も、いっぱい知ってます。…例えば……話を聞かせてくれた時、看病をしてくれた時、一緒に寝てる時とかも…」
　
彼が顔を上げて、私を見た。
私は少しだけ視線をずらし、思いきって告げた。

「だから……だけど、今日はいっぱい、
う～……あ、愛して…くれますか？
私も何とか…その努力はしますから」

その笑顔はかなり引きつっていたし、不気味だったかもしれない。

だけど彼は、ホッとした顔で私を見上げた。
私はその頬を片手で覆い、ほんの少し躊躇った。

そして。
　
その夜初めて、私からキスをした。
彼から教わった通りに、唇をなぞって割り開く。
まだ不馴れな、ぎこちない動きに彼は優しく合わせてくれて、やがては主導権を奪って、さらにそれを深くしていった。

その夜は、いつもと違う大きなベッド。

私もほんの少し大胆に、積極的に振る舞って…

果てのない情交は、深夜まで続いた。