囚われのサンドリヨン ~御曹司様のご寵愛~【番外編を追加しました】
「…でもナンですね、カチョー」
「カチョーは止めろって言っただろ」

「まあソノウチ…
こんな大きなお部屋は…2人きりだと勿体ないですね。
いつものお部屋が落ち着くかも。
やることは同じで、キョリも近い訳ですから…」
 
私はフカフカの羽毛布団をポフポフと叩きながら言った。

横にいた彼が皮肉に笑った。

「えらく合理的だな。貧乏くさいというか……大概の女は喜ぶのによ」

私はハッと横を向いた。

「…もしかして…私を喜ばせようと…それでココに?」

「………」

彼は眉間にシワをよせ、わざと顔をしかめてから、クルリと背を向けた。

「こないだ……ベッドがセマくて寝にくいって、言ってたろ…」

私は目を見開いた。
あんな文句を覚えていて、私を喜ばせたかった?
あのオニアクマのご主人様が?

「か、カチョー。そういう事ですか~~?
ちょっとお顔を!ちょっとだけお顔を見せて‼」

「…ぐ~」

彼は狸寝入りを決め込んで、ギュッとフトンを巻き込んでしまった。 
 

今日の憂いの全てが飛んで、幸福な気分が私を満たした。

彼は見ていてくれてなかったが、その時の私は、きっと誰よりも幸せな顔をしていたに違いない。
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