囚われのサンドリヨン ~御曹司様のご寵愛~【番外編を追加しました】
第21話 離さない
ザァァァァ…
波が静かに打ち寄せる。

4ヶ月後___

結婚式の日に大橋を渡った私達は、それから更にフェリーに乗って、瀬戸内の小さな島にたどり着いた。

漁業とネギ(ワケギ?)の栽培が主産業のその島で、古い一軒家を借りて私と父は生活を始めている。
 
貯金を大事に使いながら、父娘2人何とか生計を立てている。

父は漁師の仲間に入れて貰い、見よう見まねで、楽しそうに船に乗っている。
 
私はといえば、島で一軒だけある診療所の、事務の仕事にありついた。

お爺ちゃんお婆ちゃんばかりの過疎の島で、私は若い娘というだけで、とても可愛がって貰える。


『美咲ちゃん、セガレの嫁にきちゃあくれんかのう』
『え、そんなあ♥』
『ダメダメ、ゲンさんとこの息子はもう50じゃろう』
『ゲ……』

こんな感じで、80のお爺ちゃん先生と、これまたお年寄りばかりの患者さんと、のんびりした毎日を過ごしている……


「ソロソロ昼、止めじゃ止め」

その日も、12時には患者さんが退けたので、老先生はサッサと午前中の診療を終えた。
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