囚われのサンドリヨン ~御曹司様のご寵愛~【番外編を追加しました】
「おお~~い、美咲ぃ~~」

呼ばれた方向に目を遣ると、海岸に船がついていた。

父が手を振っている。

私が手を振り返すと、嬉しげにこちらに駆けてきた。

隣に座って、同じ弁当を広げる。

「今日の釣果はどうだった?」
「いいぞぉ、見ろ。晩飯に分けて貰った」

クーラーボックスの中にはタイが2匹入っている。

「ウワー、リッチぃ!」

私達は手を打った。

父は、来たばかりの頃にフラりと海に入ろうとした私の事を心配し、あまり遠くの海には出ない。

“もう大丈夫だよ” と言っても眉を下げて笑うだけ。
大抵一緒に昼食をとる。

バラバラバラ……

ヘリコプターの音が少し煩いようだ。

「…でよぉ……海開き…手伝いが…」
「えー、何?聞こえない」

耳に手をあてて顔を寄せた。

「だ~か~ら~~!」

父が声を張り上げた。

バラバラバラバラ……

もー、煩いな。

「海開きの手伝いに……ウワッ、み、美咲っ!」
「だから何を……んん⁉」
  
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