囚われのサンドリヨン ~御曹司様のご寵愛~【番外編を追加しました】
彼が私の左手を取り、レースの手袋を抜いた。

胸ポケットからいつの間に設えたのか、プラチナリングを取り出した。
長くて細い、美しい指が細かに震える。

彼は一旦動きを止めて、スウッと深呼吸を一つした。

そうして指の震えを止めて。


リングを私の薬指に嵌めた。



……全く。
何て傲慢な。
臆面もなく、そんな気取った台詞を言えるのは、あなたくらいのものですよ。

小わっぱ四葉は恥ずかしくって……頷くくらいしか……出来ません……

流れた涙を彼の小指がそっと拭った。
 


それから。

夕日に映えた2人の影が、緩やかに重なった。
 

それは何度も、

離れてはまた重なって___


日が暮れきってしまうまで、飽きることなくいつまでも続いた。
 
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