囚われのサンドリヨン ~御曹司様のご寵愛~【番外編を追加しました】
「あの~、ソロソロ教えて下さいよぉ、まさかここで、本当に結婚式を?
教会とか、この先にあるんですか?」

けっこうな距離を歩いたようで、ヘリの姿ももう見えない。

彼がクルリと振り返り、いつかの無邪気な笑顔で笑った。

夕陽に映える浜の景色。
教会こそ見当たらないが、どうやらここが終点のようだ。

「見違えた。晴れ舞台なのに、砂まみれじゃあ味気ない」

これが本当のサンドリヨン(灰かぶり)、いや“砂かぶり”。

何て言ってる場合じゃない。

照れくさそうに私に向かい、彼が右手を差し伸べた。
私はそれをフワリと握る。

“対外的な披露目はまたやるが”

の前置きの後。

彼は急に手を引いて、力の限りに私を抱いた。

「うわっぷ、苦ひ………タカトラ…さん?」

彼の身体が震えている。鼓動が大きく伝わってくる。

「……神様にも人にも俺は、
嘘ばかりを誓ってしまった。
だからもう……そいつらには誓えない」

「………」

震える手が、柔らかに巻いた髪に触れた。
 
「だから今度こそは。
他でもない君に誓いたい。
2人きりで本物の……

永遠の…愛を」
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