囚われのサンドリヨン ~御曹司様のご寵愛~【番外編を追加しました】
そう言って口元を綻ばせた彼は、私がガードを固める前に、素早く舌を滑り込ませた。
 浅く絡ませ、口腔内を擽りながら私の腰に腕を回す。

 朝日に似合わぬ甘いキス。

 あっさり抵抗力を奪われた私は、促されるままにベッドの中に引き入れられた。

「…朝食に…間に合わなくなる」
 
 辛うじて残っていた理性で彼を窘めても、

「オマエが朝食」
 
 なんてコトをほざいて、また軽く唇をつつき始める。
「バカなことを…う…ふぅ」
 口先ばかりで嗜めながらも、離してはまた重ねる意地悪なキスに、私はいつしかより深い交わりを求めて自ら彼に身を寄せていた。

 一体誰が用意してくれているのか、ホテルのクロゼットには私にピッタリのサイズの衣装がいくつか用意されている。
 今朝、着替えたばかりのシルクのロングワンピース。 

「美咲…」
 すっかりノッてきた彼の指が、その柔らかな曲線を滑り出した時だった。

 ♪リーン♪
 ♪rururururururu♪
 ビィィィン…

 素晴らしいタイミングで、部屋の呼び鈴、備え付けの電話、彼のスマートフォンが鳴り響いた。
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