囚われのサンドリヨン ~御曹司様のご寵愛~【番外編を追加しました】
「全部でも良かったのに」

 釈然としない様子の彼だったが、店の奥から、慌てて出てきた店主に厳選した1つを渡し、私達は店を出た。

 ”蛙になったお王子様” のペンダントトップは、本物の真珠の上に、小さな金の蛙が乗ったもの。
 それに合わせた金鎖は彼の見立てだ。
 
『1つ1つ、職人の手作りなんだよ。どうか大事に使っておくれ』
 私のことを、
 『Wow、チビ○コチャーン!』
 と呼んだ店主は、帰り際、大きな掌で私の頭を撫でてくれた。


「へへ…ありがとうございます…へへ」
「美咲…ちょっとブキミだぞ」

 早速それを首にかけて貰い、ニマニマしながら歩いていると、彼が少し仰け反った。

「ふうん…しかし、
それっぽっちがそんなに嬉しいものか…」

「だって。
 初めて一緒に歩いて選んで…手渡しで貰ったプレゼントですもん。
 きっと私、これを見てね、この日のことをいつまでも思い出すの」

「ふうん……」

 キラキラと瞳を輝かせ、大切に胸元のペンダントを両手に包みこむ私を見て、彼は不思議そうに首を傾げていた。
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