囚われのサンドリヨン ～御曹司様のご寵愛～【番外編を追加しました】

そういえば、初日も確か土曜日だった。


『…これ、本当に着るんですか？』

『あら、なにかおかしいかしら？藤城家代々に伝わる女中の衣装ですヨ』

挨拶もそこそこに、厳格な調子でアサダさんに衣装を渡された私は愕然とした。

モロ、秋葉原のコスプレショップで購入したようなフリフリスタイル。

80の婆ちゃんもこれ着てたわけ？

疑問に思いながらも、シブシブ着替え終わった私に、オオガミさんがこっそり耳打ちしてくれた。

『ウソウソ。
これね、アサダさんのシュミなの。
まあ、慣れたらケッコウ可愛いと思うわよぉ？』

言いながらフザケたポーズをとる彼女を見て笑っていたら、アサダさんに睨まれた。

『お～～、なかなか似合うじゃん』

通りかかった藤城課長にからかわれ、顔から火が出そうだったのを覚えている。

ところが、彼の姿を目敏く見つけたアサダさんが
『まあまあ、貴彪坊っちゃん！』
なんてオクターブ高い声を上げたもんだから、藤城課長は顔に似合わず頬を染めた。

『……言い方ヤメロ』

反撃とばかりに思いきり吹き出してやったら、恐ろしげな形相で睨まれて……


その後散々こきつかわれた。

藤城課長にはもう、2度と逆らうまいと心に刻んだ、意義深い初日だったっけ。