囚われのサンドリヨン ~御曹司様のご寵愛~【番外編を追加しました】
「でも父親って…アレだろ?
オマエに借金押し付けて夜逃げした…」

ふと手を緩めた。
似ても似つかない均整のとれた背中が、父親のそれと重なった。

「……父ちゃんはいい加減だし、ダマされやすいですから。
聞いたことはないけど、母ちゃんにも多分それで逃げられたんじゃないかと思うんです」
 
フフッ、自然と笑みが漏れた。

「でもね、とにかく優しくって。疲れてるはずなのに沢山遊んでくれたりね。
だから苦労もしましたけど、どうしても憎めないんですよ」

「……そうか…父親とは……雲の上に有るものと…認められるべきものと、そう教えられてきたが…
違うものなんだな」

しみじみと彼は呟いた。

「ほぇ~、キビシイんですね~。ま、うちは庶民ですからね」

少しの沈黙が流れた後___

藤城課長は寝言のように気怠く、眠たげな声で呟いた。
< 54 / 279 >

この作品をシェア

pagetop