囚われのサンドリヨン ~御曹司様のご寵愛~【番外編を追加しました】
その夜___

遅くに帰宅した彼の顔色を伺い、機嫌が良いのを確認すると、早速打診を試みた。

「…というわけで~」

私は、恐る恐る顔を上げる。

「へぇ…香河がねぇ」

彼の視線が一瞬、彷徨(うろつ)いた。

「よ、良かったじゃないか。
ヤツがお子様嗜好で……イヤァ、珍しい男がいるもんだ」

「じ、じゃあ?」

オッケーですか!?
イャッフウ~~!!

私の気分は最高潮に達した。
お許しが出るのなら、いつもの彼の毒舌など、痛くもカユくもない。


だが、次の瞬間に浴びせられたのは、冷水のような一言だった。

「しかし……やっぱダメだな」

「エエエ…」

ジェットコースター並みの速さで、一気に谷底に落とされる。

「考えても見ろ。オマエに優雅に恋人とデートできる自由時間なんて、どれだけあるんだ?」

「えっと……」

指を折って数えてみた。

ない。

「で、でもっ!昼休憩とかあるし!」

彼は、チッと舌打ちして、わざとらしく人差し指を顔の前で振って見せた。
< 61 / 279 >

この作品をシェア

pagetop