囚われのサンドリヨン ~御曹司様のご寵愛~【番外編を追加しました】
第8話 課長の背中に
『やっぱりダメでした…』

『そっかぁ…それじゃ仕方無いね。良くなったら言って。
たまには昼飯でも行こ』

香河紀文センパイは、眉をハの字にしながら、それでもサラッと流してくれた。

何ていい男(ヒト)なんだろう。

どこかの魔王とはエラい違いだ。
 

その言葉を聞いた私は、真に本気になった。

これまで、月額5万円で生活していたのを、更に3万5000円までに切り詰める事にした。

そうすれば、試算では4年5ヶ月の返済期間が6ヶ月も短くなる。

そのため、まずは晩御飯の賄いを半分残して昼のお弁当にする。
バスを使っていたのを、一駅早く降りて徒歩に切り替える。
お洋服は勿論、下着だって4年は買わない!

とにかく一刻も早く、藤城貴彪の支配から逃れなければ……


私の青春が終わってしまう‼


キッと課長席を見据えると、私は拳を握りしめた。
< 63 / 279 >

この作品をシェア

pagetop