あなたのものにしてください

「セーフッ!」
なんとかギリギリ間に合ってひと安心し、教室に入る。


2年生に進級するにあたって、クラス替えがあった。
わたしは2-C組になった。



このクラスになってから、1つだけ嬉しいことがあった。



廊下側の後ろから2番目。
そこに座るのは、井瀬郁哉(ふみや)。


1年生の時、隣のクラスだった彼を体育の授業で見た時、どきっとした。


一見淡白そうだけれど、にこっと笑った顔が幼くて。
目が離せなくなった。


それからずっと気になっていたけれど、関わりもなければ、話したこともない。
しかも彼は女子の間で人気らしい。
ずっとこの先、ただの同じ学年の人という関係は変わらないと思っていた。






あの日までは。


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