若の瞳が桜に染まる
「本当に間違いないんでしょうね?」

「あぁ。この間あの屋敷に入っていくのをこの目で見た」

誰も近寄ろうとしない屋敷の近くでそんな会話をしている二人。

その正体は、相変わらず綺麗な格好をした香織と、サングラスをかけてノリノリで見張りを楽しむ楠井だった。

入社時から我久に好意を抱いていた香織と、日和を意識していた楠井。互いの気持ちを早い段階で察した二人は、関係が上手くいくように色々と作戦を実行していた。

そのうちの一つがあの飲み会だった。帰り道はそれぞれ意中の相手と共になるはずだったが、吉田に作戦を邪魔されてしまった。

そこで次なる計画を企てていた。
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