若の瞳が桜に染まる
暫くすると、旬と蘭も仕事を終えて部屋にくつろぎに来た。

「天気わりーな。これじゃあ稽古できねー」

「蘭の言う稽古って、組の男たちを問答無用で殴り飛ばすあれ?」

「あ?不意打ちでも対処できるよう訓練だよ」

何も変わらない、いつも通りの日常だった。

ところが、そんな屋敷の門から数十メートル離れた場所。電柱の影で、傘をさした二人が屋敷の様子を窺っていた。

二人がこの場所についてから、かれこれ一時間ほどが経過している。
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