若の瞳が桜に染まる
今の時代、裏社会もほとんどの組織が頭を使った商売へと移行しているというのに、茶島会は腕力だけの古いやり方を貫いていた。

少し前までは目立った動きもなく、消滅したのではとさえ囁かれたのだが、最近になって息を吹き返した。最後のあがきという意味なのかもしれない。

そんな事情を考慮に入れつつ、我久は茶島会への対処を考えていた。
無視を決め込むか、他の組織と一時的に協定を結んで一気に潰しにかかるか。

最終決定を下すのは組長である辰久だが、彼の性格的に潰す選択をするのは目に見えていた。

ならば我久は、どうやって被害を最小限に抑えるのかを考えなければならない。

どうやったら、日和を巻き込まずに済むのか。

仕事中だというのに、手を動かさずにぼんやりと考えに没頭していた。
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