若の瞳が桜に染まる
「楠井さん……、我久は?
他の皆も…!

なんでこんなことを!」

ベットからおりて楠井に叫ぶ。

「まだ薬が残ってるんじゃないかな。急に動くと危ないよ?」

言われた通り、頭がクラクラする。でも、そんなことに構っていられなかった。

楠井が何者なのかわからない。近づいてくる楠井が怖くて後ずさるも、すぐに壁に背中をついてしまい、追い付かれる。

「…、来ないで…」

「先輩たちなら…、死んだんじゃないかな?
逃げられないでしょ」

日和の目には涙が溢れてくる。なんと言われようと無事を信じているけれど、どうしても揺さぶられる。

それを楠井は、笑って拭った。
< 274 / 306 >

この作品をシェア

pagetop