クジ引き
「これさ、さっきまで黒板に張られてたんだ。俺が取ったんだけどさ」


文哉がそう言い、一枚の写真を取り出した。


ここからじゃ遠くて見えなくて、あたしはどうにか立ち上がり文哉へと近づいて行った。


その写真は小学生のあたしが写っていて、増水した川に流れていく少年を見ている場面だった。


これは間違いなく、あたしがあの子を突き落してしまったときの……!!!


「あ……あ……」


何か言いたいのに、声にならない。


「ちっ……ちが……」


左右に首を振り、文哉から後ずさりをして離れるあたし。


途中で躓いて、尻餅をついてしまった。


「これ、俺の弟なんだ」


文哉の横に立っていたそらが、冷たい声でそう言った。


そらの弟……!?


「う、うそだ! だってその子はあたしと同じ1年生だったもん!!」


あたしは叫ぶようにそう言っていた。


クラス中が静まりかえる。


「やっぱりこの写真に写ってるの、お前だったんだな」


そらがあたしを睨みつけて来る。


あ……!!


思わず口走ってしまった事を、後悔する。
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