クジ引き
寄り添って
それからあたしは自分の部屋でぼんやりと音楽を聴いていた。


さっきの画像を見てしまってから、すべてのやる気が失われてしまったのだ。


朝日はずっとあたしの隣に座っていて同じように音楽に耳を傾けている。


「……どうして逃げないの?」


あたしがそう聞くと、朝日は困ったように眉を下げた。


「自分でもわからない。でも、強い何かに支配されて動けないような、そんな感じがする」


もしかしたら朝日は強い洗脳にかけられているのかもしれない。


ここにいればあたしに殺されてしまうかもしれないと知りながら、どこにも行けない。


画像の中のあたしと同じで、ロープでがんじがらめに縛られている状態なのだ。


「あたしと朝日は同じだから……」


あたしは呟くようにそう言って、朝日の肩に頭をもたげた。


朝日の体が一瞬ビクッと跳ねるのがわかった。


「あたしたちは、被害者だから……」


そう言い、あたしは朝日のぬくもりを隣に感じながら目を閉じたのだった。
< 49 / 139 >

この作品をシェア

pagetop