囚われ姫と金と銀の王子
殿下は私に庭にある植物の説明をしながら、庭を歩く。

今まで興味もなかったのに、その意味を知ると見方が変わるから不思議なもので。


「へえ、色々な意味が込められているのね、面白いわ」

「だろう?植物は人の気持ちを落ち着かしてくれるだけでなく、気持ちを代弁してくれる存在でもあるんだ。自分の気持ちを素直に伝えられない時、その役割をしてくれたりね。だからこの国では、そういった意味も込めて、植物を贈る風習があるんだ」


知らなかった・・・。

国によって色んな風習があるのね。

私の国ではそんな洒落たもの一切なかったから、新鮮だわ。



「さて、そろそろ帰ろうか」

一通り庭を歩いた所で、殿下はそう言うと城へと戻る。

エントランスにある扉から中へと入ると、鋭い視線が突き刺さった。



私は思わずその視線の先を向く。



そこには二階へ上がる螺旋階段の途中で、女がひとり立っていた。


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