囚われ姫と金と銀の王子
―――マリリン・・・!



その瞳は今にも人を殺しそうなほど怒りが篭っていて、私を逸らす事無く睨み続けている。

その視線の強さに、思わず身体が縮まりそうになるのを、必死にこらえた。


「どうした、ソフィア・・・ん?あれはマリリン?」


そんな私に気付いたのか、殿下は声を掛け私が見ている方向を見上げた。

マリリンは殿下が向いたのに反応して、素早く顔を逸らし二階へと上がっていった。



「なんだ、一体・・・」

殿下はマリリンが私を睨んでいた事に気付いていないようで、マリリンの行動に少し困惑した表情を浮かべていた。

私は激しい動悸が抑えられず、思わず胸の部分を手で押さえる。



やはり、マリリンも納得してはいなかった。

・・・しかもあの瞳。
私だけじゃない、殿下にも同じように怒りを持っている。


その事に危機感を感じた。
もしも、私ではなく殿下に危険が及ぶような事があったら・・・。

身から出た錆だから仕方がないとはいえ、それでもこの男は将来の国を担う大事な王子。
そんな事になれば、この国は・・・。


私の額から嫌な汗が、たらりと流れた。
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