囚われ姫と金と銀の王子
―――でも、これでいいと、そう思った。


殿下には悲しませてしまう事になるけれど、これからの人生を考えたらそれは一瞬の出来事。


私がいなくなれば、この冷ややかな人々の目もなくなる。

殿下も私のせいで悪く言われる事もなくなるし、いい結果ではないか。



ひとつ悔やむ事と言えば、エリスを救えなかった事だ。

エリスにこんな役をさせてしまって、不幸にさせてしまって、それだけは悔やんでも悔やみきれない。




ごめんなさい、エリス。

私のせいであなたの人生を狂わせてしまったわね。



やはり私は愚国の王女。


・・・誰も幸せに出来る力などないのだわ。



悲嘆の想いから、涙が一筋零れ落ちた。


そして、私の意識はそこからぷつりと糸が切れるように、消えた。
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