マーガレット

「沙奈は今年もイブは出かけるのか?」


「どうしたの?突然」


朝食を食べ終えて学校へ行く準備をしていると、お父さんがこんなことを聞いてきた



「詳しくは決めてないけど、拓海とデートする予定だよ」



クリスマスは恋人たちにとって、一大イベントなんだから当たり前でしょ


私もテレビとか漫画を見て憧れてた


まぁあの時の私は、自分にこんな日が来るなんて思ってもいなかったけど……



「そうか……今年も沙奈はお父さんたちと過ごさないのか……」


「寂しい?」


「もちろんさ。くそぉ、沙奈に彼氏さえいなければ……」


「……お父さんサイテー」


娘の不幸を願うって、どんなお父さんよ



「大体、拓海が家に来たとき"最近では珍しいくらいの好青年だ"って褒めてたじゃん」


礼儀正しくて、しっかりしてるし、頼りになるって


あのセリフは何だったのよ……



「確かに拓海君は素晴らしい子だ。そんな彼だから、沙奈を任せられるんだが……お父さんは寂しいぞ!」


「はいはい。じゃあ時間だから、いってきまーす」



お父さんの言葉を適当にあしらって、私は家を出た


心の中で、お父さんにあんな可愛い一面があるなんて……と思いながら




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