マーガレット
「お待たせ」
駅の改札を抜けると、柱にもたれて待っている拓海に声をかけた
「今日は遅かったな」
「ごめんごめん。お父さんと話してて」
外は吐く息が真っ白になるくらい寒く、どれだけ重ね着しても暖かくない
そんな寒空の下、拓海はいつも待っててくれる
それにしても、本当に寒い……
「ほら」
マフラーに顔を埋めて寒そうにしていると拓海が手を差し出した
私が無言でその手を取るとぎゅっと握ってくれて、拓海の体温が伝わってくる
「やっぱり拓海の手は安心する」
大きくて、温かくて包容力があるくせに、案外骨ばってるところに、優しさと強さを感じる
「あんまり可愛いこと……言わないでくだサイ」
「えっ!?」
驚いて見上げると、拓海はそっぽを向いていた
もしかして、引いた……?
だけど耳朶が赤くなっていて、照れているんだとわかった
それを見てなんだか私も急に恥ずかしくなって、
「き、気をつけます……」
としか言えなかった。