大好きな君へ〜私はもう大丈夫だよ〜

嵐side



俺は国崎 嵐-kunisaki ran-。

春風の8代目総長だ。

俺達春風は9年前に全国1位になった。

俺の9年前の総長が今の担任である、西条隆守だ。


俺と優夜は朝から授業をサボっていた。

しかし、4時間目は先代である隆守さん授業なので出ようということになり、教室へ行った。


教室に入ると、俺の隣に座る優夜の前の席にゴールドアッシュの髪をした女が座っていた。

その女は窓の外を見ながら、ヘッドホンで音楽を聴いていた。

優夜がその女の肩を優しく叩いた。

女は俺達を見ると微かに震え出した。


男嫌いか……?


そしていつの間にか隆守さんが女の横に立っていた。

その隆守さんは女の頭に手を置くと、女の表情は少し和らいだ。

しかし、それとは対照的に隆守さんからは殺気が出ていた。


隆守「こいつは間宮 恋。男嫌いなんだ。触るのも触られるのも無理。だから関わんねぇでくんねぇかな」

優夜「隆守さんも触っていますが」

隆守「俺はいいんだよ。いいから、恋には関わるな。そして近づくな」


有無を言わさぬ隆守さんの表情と殺気に俺達は言葉を発することができなかった。

隆守さんはそれだけ言うと恋と言う女の方を向き、指で耳を指した。


女が首を振ると、隆守さんが女の背中と足に腕を入れ、抱き上げた。

それを見て俺は胸に違和感を覚えた。

隆守さんはそのまま教室から出て行ってしまった。

優夜「あの男嫌いは相当だね……」

嵐「女に興味がない隆守さんがあそこまで執着するとは何者だ?」

優夜「確かに隆守さんが女の子を名前で呼んでるのは初めて聞いたよ」


隆守さんら5代目に姫はいなかった。

暴走族には浮ついたやつらも多いが、隆守さんに関しては女の噂は聞いたことが全くなかった。


嵐「恋…か。気になるな」

優夜「珍しいね。嵐が興味を持つなんて」




嵐side終
< 5 / 15 >

この作品をシェア

pagetop