逆光





「和泉さん、今日の昼、話せます?」


突然の誘いに、和泉は言葉を繋げられなかった。
まさか島さんに誘われるとは。
一回しか話したことないのに。
しかもあんなに穏やかじゃないかたちで。


「いいですか?」


島さんの押しの強さに違和感をおぼえる。

あの時のような、怒りをこめた話し方ではなかった。
何か和泉に伝えたいことがあるような。

気付いた時には、和泉は頷いていた。


近くにあったカフェに入る。
お互いにレディースランチを頼んで一息つく。

運ばれてきた水を一口飲んで和泉は考える。

島さんからの話といったら、内容は寺田総馬のことだろう。
だけど、結婚するとまで分かっていて、その上で何を言う気なのだろう。

和泉が下を向いていると、ポツリポツリと島さんが話し始めた。


「ナムト戦争が終わって、兵が引き上げ始めたから、私たちもそろそろナムトへ行こうという話になったんです」


土壌の調査、被害の状況。
それらを現地に行って確認してくるのだそうだ。






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