ずっとお前を待ってるから
思い出作り
「冬二君、なんであんなに怒っていたんだろうね」

「柚那が何かやらかしたんじゃないの?カッコイイ男子の話でもしたか…」

「そ、そんな事してないよっ!寧ろいないからっ!」

何やら疑いの目を向ける海に困り果て一緒に帰っていた鈴子ちゃんの背後に隠れる。

「それよりも、冬二君は一緒じゃないの?」

「…何も知らないよ」

「…ふうーっん…」

「な、何よ…っ」

「べっつに〜?」

海達と帰る事は毎日変わらないがそんな事よりも帰る時に冬二に言われた一言が心に突っかかっていた。

「…何が気をつけろよ、よ…まったく」

「柚那ちゃん?どうかしたの?」

「へ?あ、ななんでもないよ!」

美しい微笑みを向ける彼女に気を付けろなど…冬二は一体何を考えているのか…。よくわからない。

「じゃあ、また明日ね」

「うん、二人とも明日」

「じゃあね柚那ちゃん」

交差点で海と鈴子ちゃんと別れ際に手を振る。隣の親子の横で信号待ちをしていた。二人の兄妹はまだ小学生ぐらいで仲良く手を繋いでいた。私も冬二と車が危ないからって手を繋がれたっけ…。

「あ!帽子が!」

「あ、おい!」

「あ!待ちなさいっ!!」

すると、赤信号の筈が帽子を取りに行ってしまった妹らしき女の子が道路に飛び出していた。悲鳴に近い声が周囲から上がり私は咄嗟に迫っていた車から回避させるべく道路に同じく飛び出していた。女の子の背中を押した所で私の意識は飛んだ。



ーーー。

誰…?。

ーーーっ!!。

あ、そういえば…あの子…。

ーーーゆ、な…!!

怪我してないかな…大丈夫かな…。

ーーゆず、なっ!!。

「…あ、れ…」

ふと目覚めたのは白い天井と青ざめた母の顔と眉間に皺を寄せた冬二の顔だった。
< 18 / 22 >

この作品をシェア

pagetop