ずっとお前を待ってるから
「…と、うじ…?」

「柚那っ!お前…心配かけやがってっ!」

「あぁ…柚那…っ意識が戻ったのね…」

「お、かあさん…ごめん、なさい…」

眉間に皺を寄せたまま苦い顔をする冬二は私の顔を見つめると安堵したのか胸を撫で下ろした。青ざめた顔から少し顔を赤くし目に涙を溜めた母の顔に申し訳なく謝る。
ふと、見た窓外はあたりあたりは真っ暗だった。

「今、何時…?」

「夜の十一時だ、お前ずっと起きなくてよ…」

「よ、る…?」

どれぐらい眠りについてたのかな…。ため息混じりに話す彼は少し安心したように微笑んだ。
その顔に二人にどれだけ心配をかけたか胸が痛んだ。
母は医者と話しに行ってしまい冬二と2人きりになってしまった。

「…足痛い…」

「そりゃ、折れてんだからそうだろ」

痛む足は丁寧に白い包帯で巻かれ土台のような所に高く上げられていた。額にもガーゼが貼られ怪我の具合はまだ軽いほうなのかな…折れちゃったけど…。そういえば、あの女の子は…?

「あ、あの女の子は…?」

「ん?あぁ、あの子だったら転んだぐらいですんだみたいだぜ。それと、これ」

「…?…どうしたのそれ?」

心配そうに見つめる私の頭を撫でてくる冬二に少々恥ずかしく感じ顔を逸らすと額に何か小さな柔らかい布らしき物が置かれた。それを手に取り見つめる。

「…リボンの髪留め…?」

「助けてくれたお礼にと早く元気になってねってあの女の子がお前に渡してくれって」

「…軽い怪我で良かった…」

あの女の子が生きている事だけが嬉しい。女の子の言葉通りに早く元気ならなくちゃ…。

「そういえば…なんで冬二もいるの…?」

そうだ、私はこの事が最初から気になってしょうがなかった。母がここに呼ばれて来るのはわかるがなんで冬二がここにいるのかさっぱりだった。

「…家ん中に入ろうとした時に柚那の家からおばさんが慌てて出てくんの見えたから聞いたらお前が轢かれたって聞いて俺も一緒に来た」


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