ずっとお前を待ってるから
「あぁ〜…なるほどね。前に言ってた昔好きだって言ってた幼なじみ君?」

「え、あ…う、うん」

「いい加減夢から覚めなさいよ~、その子を想ってたって告白なんかできるわけないじゃない。もうこっちにいないんだし」

「そ、それは…」

海の言葉は正論で何も言い返す事が出来ず言葉に詰まる。そりゃ、あの子だって私の事忘れているだろう。

「今年こそは彼氏作るって決めたし」

「私は別にいらないよ?」

「何言ってるのよ!青春の一ページは恋から始まるものよ!」

そう、何やら今年は海は彼氏を絶対に作ると決めてるらしくそれに私も巻き込まれた。何かに燃えている海に楽しそうだなといつもの如く思う。

「ほら、また続きは昼休みにね」

「じゃあ、絶対に女子力上げる方法をお互いに話し合うからね!」

新学期が始まって一ヶ月が経ち海とはクラスが違うので毎日昼休みに落ち合う約束をしている。賑わう教室に入った途端に一人の男子生徒が寄ってくる。それも毎日変わらない。

「柚那ぁ〜、宿題見せてくれよ〜」

「また?最近多いよ、鈴太(れいた)」

「だってよ、部活も今年最後だし忙しくて宿題やってる暇がねえんだよ〜、頼む!」

「…ジュース奢ってくれたらいいよ」

「助かるわ!絶対奢ってやるって!」

子供っぽい笑いを向ける彼は鬼柳鈴太(きりゅうれいた)。彼とも中学校からの知り合いで同じクラスになった今でも毎日話す。まあ、ほぼ宿題を貸して欲しいと言ってくる事の方が多い…。

「ほら〜、席に着きなさーい」

チャイムと同時に担任が入ってきた。しかし、いつも以上に化粧が濃く何やら若干の猫撫で声で話すイケメン大好き黒岩凛先生三十歳。

「おいおい、今日化粧濃いぞ〜!りーんちゃん!」

「う、うるさいわよ!」
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