ずっとお前を待ってるから
何ともまあ…。ざっくりとした感じで話た彼。如何にも当たり前だろ?とでも言うような顔をする彼に呆れ返ってしまう。

「普通一緒に着いてこないでしょ…」

「そんな事聞いちまったら心配でしょうがないだろうが」

私の問い掛けに唇をへの字にしむくれた様な顔する彼に小さい時の頃を思い出す。むくれた時いっつもそんな顔してたなー…。でも、少し嬉しいと感じる心に顔が熱くなり布団を頭まで被る。

「あ…ねえ、私何時まで入院しなきゃいけないの…?」

「…学祭は出れねえな…」

「…へ?」

今何とおっしゃりました…?
学校祭は出れない?そんな…。出店巡りに音楽ライブ、高校最後の学校祭に出れないなんてそんな悲しい事があるのだろうか。余りにもショックな事に頭が付いてこない。突如込み上げた鉛のような重い感覚が押し寄せ涙が込み上がる。

「おいおい…泣くなんじゃねえよ」

「っ、だって…」

「お前、劇嫌がってたから丁度良いんじゃねえの?」

「よ、くないもん…っ!劇は…嫌だけど、高校最後の…学校祭なの、に…っ」

零れ落ちる涙は止まらず嗚咽を漏らしながら涙を流す私に半ば呆れながら手で涙を拭う彼に顔を逸らす。素直になりたいけど彼の前だとどうしても素直になるのは難しそうだ。

「っし…しょうがねえな…俺が最後の学祭楽しませてやるよ」

「…え?…で、でも…どうやって…?」

「俺に任せとけってっ!」

胸を張りぶっきらぼうに撫でられた頭に大きな手だな…っとふと思う。子供っぽさもあり大人の顔もする彼のコロコロと変わる表情は見ていて笑みが零れる。

その後、母が戻り夜も遅いので少々話込み帰っていく二人に寂しさを感じ、布団を頭からすっぽり被り目を瞑った。
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