イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
……やっぱりそうだよね。早乙女くんの言葉を聞いて、気持ちはまた沈み込んでいく。

きっと一番の理由は、未練があるから──まだ好きだから。

連絡をし始めたのはどちらからなのかわからないけど、直接何度も会っているくらいなのだから、お互いの気持ちは同じなんじゃないだろうか。

そうだとしたら、私は早くこの関係をやめて、部長を解放してあげなくちゃ──。


「……部長と、何かあったの?」


いつの間にか黙り込んで俯いていた私の顔を覗き込み、早乙女くんが心配そうに言う。

はっとして、すぐに笑顔を取り繕った。


「ううん、そういうんじゃないの! ただ、ちょっと気になって」

「本当? ……そうは見えないけど」


彼はまだ怪訝そうに見つめていて、私はなんとか明るくしていようと努めるけれど、笑顔はぎこちなくなっている気がする。

早乙女くんは、私達の間に何かがあるのだと感づいたように、表情を強張らせて言う。


「もし、坂本さんが悲しい想いをしてるなら、いくら部長でも許せないな」


その声には静かな怒りが込められているように聞こえるし、こんなに険しい顔を見るのも初めてだ。

早乙女くんが、私のことでこんなに真剣になってくれるなんて。

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