イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
「こんにちは。スマイルさんの方、ですよね?」


スマイルメイキングという社名を略し、取引先の皆さんはだいたい“スマイルさん”と呼ぶ。

その社名とニコニコマークが描かれたパンフレットを片手に抱える私は、笑顔で軽く頭を下げた。


「はい、いつもお世話になっております。営業部の坂本と申します」


坂本 一葉(さかもと かずは)二十六歳、営業歴は一週間ですけれども。


「坂本さんね。僕はここの責任者の栄(さかえ)です、よろしく」


調理師の栄さんも、軽く頭を下げて挨拶してくれた。

見たところ四十代だろうか。ふくよかな体つきで眼鏡を掛けているその姿は、あのネコ型ロボットに似ている。

……サカえもん……響きもまずまず。

なんて失礼なことを私が思っているとは知る由もない栄さんは、三日月みたいに目を細めて笑う。


「いつもの男の子じゃないからびっくりしたよ」

「すみません。今日はパンフレットをお届けにきました。この間、欲しいとおっしゃられていたそうで……」

「あぁ、そうなんだよ。わざわざありがとう」


いくつかのパンフレットを手渡し、とりあえず任務は完了したと胸を撫で下ろす。

休憩時間は残り少ないけど、昼食食べれるかな……。

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