イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
■LAST STAGE■

一世一代の大嘘フィアンセ



部長の部屋のポストに届け物を入れると、桐絵さんの車に乗せてもらい、マンションの近くのファミレスへ向かった。たぶん、初対面だからお互い気を遣わないように、気軽に入れるお店を選んでくれたのだと思う。

彼女は職場でたくさん野菜をもらったらしく、部長がいたらおすそ分けするつもりで帰りに寄ったらしい。「料理しないあの人には必要ないかもしれないけどね」と、笑っていたけれど。

桐絵さんはとても気さくで、温かい雰囲気を醸し出す人だから、緊張は比較的早く解けていった。


ファミレスに着き、賑わう中へ入ると、ボックス席に案内された。ぱぱっとメニューを頼み、ドリンクバーから飲み物を持ってきて席につく。

落ち着いたところで、桐絵さんが話を切り出した。


「まず聞きたいんだけど、零士くんから私のことは聞いてる?」

「はい、少しだけ。昔、料理の知識を教えてもらったって」

「そっか。私も最初はお義父さん……あ、由幸さんから、一葉さんのことを聞いたの」


にこやかな彼女の言葉に納得して、私は頷いた。本当に部長の家族なんだ……と、不思議な気分になりながら。


「零士くんが家に女の子を連れてくるなんて珍しいから、結婚を考えてるのかなーって。そうだとしたら私も家族になるわけだし、一度会いたいなって思ってたの」

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