イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
その事情を考えて頷いている間も、怒りが治まらない田沼部長の声が耳に入ってくる。


「こっちは毎日ギリギリなんだ。人がいない以上、受注を増やされても困るんだよ」

「それなら、総務に言っていただけませんか? 人を補充してほしいと」

「それが無理だからこっちに来たんじゃないか!」


カタカタとキーボードを打ちながら淡々と答える坂本部長に、田沼部長が髪の薄い頭から湯気を出しそうな勢いで怒鳴る。この温度差のすごさよ……。

口の端を引きつらせつつ盗み見ていると、カタッとキーボードを打つ手を止めた部長が、大きく息を吐き出して言う。


「受注がなきゃ経営が成り立たないってわかってます?」

「当たり前じゃないか! 俺が言ってるのは、何でもかんでも引き受けるなってことだ!」


バカにしたような坂本部長の言い方に、今にも田沼部長の堪忍袋の緒が切れてしまいそうでヒヤヒヤする。というか、もう切れているのかな……。

埒が明かないやり取りに業を煮やして、田沼部長は小さく舌打ちをし、ついにこんなことを言い出す。


「営業は接待やってりゃいいかもしれんがな、俺達は毎日必死で走り回ってるんだ。こっちの身にもなってくれよ」


その言葉には、営業マン達も眉間にシワを寄せ、部長もぴくりと反応を示したように見えた。

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