ゆえん
あの日、祖母と母親と一緒に、冬真さんと私の元を去ったマユであったが、美穂子が男に走るたび、祖母と『You‐en』に遊びに来ていた。
私は毎回、マユの祖母の愚痴を、楓と一緒に聞く羽目になるのだが。
あんな美穂子の娘とは思えないくらいマユは素直に育ってくれた。
最近では冬真さんと私の手伝いをしに、土日に我が家にやってくる。
奥で賑やかな声がした。
理来と来瞳の喧嘩が始まったみたいだ。
「リク、クルミに謝りなさい」
カフェコーナーに戻ると、冬真さんが少し笑いながら来瞳の頭を撫でていた。
注意された理来は、ふくれっ面をして冬真さんの腕の中にいる来瞳を睨んでいる。