ニコル
形付く記憶
 ニコルから逃れたかったのか、それとも本当に真生の事が心配だったのか、浩二自身もよくわからなかった。
 けれども、授業を放り出してまで教室を出てきたからには、真生を捜さずには戻れなかった。
浩二の足は保健室に向いた。生徒達の言うとおりに、あのふたりが真生に何かをするとしても唐突に保健室と違う方向に行くとは思えなかった。それくらい、あのふたりはいつもと違っていた。何かあるなら、保健室までの途中、そこで何かが起きると考えたのだ。
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