ニコル
前門の虎後門の狼
 教室中のガラスと言うガラスが、一斉に割れる音が、これでもかと言うくらいに響き渡った。
 耳を塞ぐもの、お互いに抱き合うもの、防災ずきんを被り机の下に逃げ込むもの、それぞれがそれぞれの思うがままの行動をとった。しかし、そのどれもが、今、目の前で起きている恐怖の前では無力だった。
< 77 / 155 >

この作品をシェア

pagetop