キミのコドウがきこえる。

しゅんとした仁成兄ちゃんを見ると、いつも悪いことしたなって思って我慢ができず私から話しかけてしまう。



「イノウエショウタさんって言って、なんちゃら協力隊?って言ってたんだけど……お兄ちゃん知ってる?」



「え?それって、地域おこし協力隊って言ってなかった?」



「あぁうん!それそれ!」



「俺の知ってる井上かな?それしかないよな?そいつがどうかしたのか?」



「私にしか出来ないことでお願いしたいことがあるって電話が来てさ」



「へえ。何だろな?」



「私もよく分からなくって。お兄ちゃんイノウエさんのこと知ってるの?」



「知ってるも何もお前……ま、会って来ればいいじゃん。会ったらお前も井上のこと分かるんじゃない?」



「ふうん?てかさ、そもそもその地域おこし協力隊ってなんなの?」



「俺もあんまり詳しく知ってるわけじゃないんだけどよ、なんか都会にいた人間が田舎にすみながら、そこを元気にするっていうような……そんな感じ?」



「田舎を元気にねえ……」



人も減って何にも魅力のない町なのに、都会から出てきて住むとか……。

イノウエさんってもの好きな人なんだろうか。

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