サマースキャンダル×× 〜Episode,00〜【短】
挨拶、しなきゃ……。
そう思っているのに、全身が熱くて言葉が出てこない。
そのことに戸惑いを隠せなかった俺は、ふたりを横切って散らかしたままのリビングを飛び出してしまった。
「ちょっと、柊!なんでシカトするの!?」
背後から有紀の怒声に近い声が飛んできたけれど、そんなことを気にかける余裕なんてない。
今はとにかく自室に行くことしか考えられなくて、大きな足音を立てながら階段を上がって部屋に駆け込んだ。
「ごめんね、遥!あいつ、反抗期でさぁ!」
有紀の声はいつも以上に大きくて、二階の俺の部屋までよく響いた。
「私はいいよ。気にしてないから」
反して遥さんの声は控えめなものだったけれど、心地好さを与えるような柔らかい声音が耳に届いた。
「私の部屋に行こ」
「うん。でも、いいの?柊くん、私が遊びに来たの、嫌だったんじゃ……」
「違う違う。たぶん、昨日私があいつのアイス食べたこと根に持ってるんだよ。さっきの態度はその腹いせだって」
違うっつーの!ばか!
それじゃあ、俺が食い意地の張ったガキみたいじゃねーか!
心の中で悪態をつきながらも、自分の態度が不躾なものだったことはちゃんとわかっている。
今からでも、ちゃんと謝るべきだってことも。
だけど、この場から動けない。
「え、それは有紀が悪いんじゃない?」
「えー!でも、あいつだってこの間私のアイス食べたし!」
「あはは!仲がいいね」
「どこが!?」
ふたりの声が近づいてきたことで妙に落ち着かなくなって、意味もなくベッドの前をうろついてしまう。
すると、部屋の前で突然「ばか柊!」と叫んだ有紀が、不満をぶつけるようにドアをゴンと叩いた。
そう思っているのに、全身が熱くて言葉が出てこない。
そのことに戸惑いを隠せなかった俺は、ふたりを横切って散らかしたままのリビングを飛び出してしまった。
「ちょっと、柊!なんでシカトするの!?」
背後から有紀の怒声に近い声が飛んできたけれど、そんなことを気にかける余裕なんてない。
今はとにかく自室に行くことしか考えられなくて、大きな足音を立てながら階段を上がって部屋に駆け込んだ。
「ごめんね、遥!あいつ、反抗期でさぁ!」
有紀の声はいつも以上に大きくて、二階の俺の部屋までよく響いた。
「私はいいよ。気にしてないから」
反して遥さんの声は控えめなものだったけれど、心地好さを与えるような柔らかい声音が耳に届いた。
「私の部屋に行こ」
「うん。でも、いいの?柊くん、私が遊びに来たの、嫌だったんじゃ……」
「違う違う。たぶん、昨日私があいつのアイス食べたこと根に持ってるんだよ。さっきの態度はその腹いせだって」
違うっつーの!ばか!
それじゃあ、俺が食い意地の張ったガキみたいじゃねーか!
心の中で悪態をつきながらも、自分の態度が不躾なものだったことはちゃんとわかっている。
今からでも、ちゃんと謝るべきだってことも。
だけど、この場から動けない。
「え、それは有紀が悪いんじゃない?」
「えー!でも、あいつだってこの間私のアイス食べたし!」
「あはは!仲がいいね」
「どこが!?」
ふたりの声が近づいてきたことで妙に落ち着かなくなって、意味もなくベッドの前をうろついてしまう。
すると、部屋の前で突然「ばか柊!」と叫んだ有紀が、不満をぶつけるようにドアをゴンと叩いた。