未熟女でも恋していいですか?
指一本触れない男は器を受け取り、自分の分だけを淹れて飲み干した。



「……落ち着いたか?」


飲み終えると振り向きざまにそう聞かれた。



「うん……」


子供のように返事をした。



「そうか。じゃあもう帰れ」


「えっ……」


急に一人きりにされるのかと思った。


「これ以上に一緒に居ると、俺の方が堪らねぇから」


「はっ!?」


言っている意味が分からない。



「だからぁ」


頭に巻いていたタオルを外し、乱れた髪の毛を触る。


「これ以上一緒に居たら、カツラの望まねぇ慰め方しそうだから帰れって言ってんだ!」


「望まない慰め?…何それ」


きょとん…として聞き返す。

高島は「あーもう!」と怒ったような声を出し、ズィッとこっちに近寄った。


「ハグしたり肩抱いたりしそうだからとっとと出てってくれって言ってるっ!」


恥ずかしそうに顔面が赤らんでいる。

その顔を見た途端、それまでの感じていた鼓動は更に速さを増した。




「ご、ごめん……!」


何に対して謝ったのか分からないまま本堂を駆け出して外へ飛び出た。

縺れそうな足元に気をつけながら靴を履いて急いで走り出す。


……怖いからじゃない。

違う意味で動悸が激しくなって、それを自分が一番信じられないから走っていた。




息が切れるまで走って、家の側に近づいてから歩きだした。

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