未熟女でも恋していいですか?
口に出しかかって止めた。

危うく男から自分を守る為だ…と言いそうになった。


「…別に何だっていいでしょう!高島さんには無関係です!」


ぷいっと背中を向けて歩き始め、思い出したように振り返った。



「今日は銀行へ行ってよ!」


念押ししておかないと。


「行く行く!心配するな!」


(するわ!)


心の中で呟き、家の外へ出る。

自分が家を出た後、高島の行動は全くもって見えない。


見も知らぬ男を家に引き込んでいると親戚の者が聞いたらなんと言われるだろう。

そもそも家の前に毎日車を停めている時点で、近所の人から何と思われているかも知れない。



(考えるのも怖い…)


自治会長の羽佐間さんは、高島の顔を見ている。

あの日、家に帰ってから奥さんに、何と言って話しているか。

母を亡くして1人になった私が、早速男と同棲していると思われても仕方のない行動だ。


(一緒に居るのは確かだけど、別に何かある訳でもないし…)


食事を一緒にするだけ。

それ以外は部屋も別々。


第一、相手は私が恐怖を感じる男だ。

指一本触れるだけでもビクつ様な生活だ。


こんな私のことを知らない世間の人に、有る事無い事を想像されるのは耐え難い。



早く1人になりたい。

2人の空気に慣れてしまう前に、1人に戻っておきたい。


(壁の塗装が済んだら出て行ってと言おう。お金なんてなくても知らないから!)

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