なみだ雨



水を一気飲みし終わったタイミングを見計らって航平は口を開いた。

「覚えてます?昨日のこと」


え?とまだ覚醒しきれていない頭をフル回転させる。


「…全然覚えてない」


航平は、フッと爽やかな笑顔で息を吐く。


「なんかした?わたし」

「ええ、それはもう」

「えー!ごめん、何したの?わたし」

「俺にじゃないです、隣の人に」

「隣の人?えっ、ごめん」


心からの反省とお詫びの顔。


「なんで謝るの」

「だって、住みづらくなったかなって」


ハハハッと声に出して笑われる。


「はるかさんの知り合いみたいで、許してもらうっていうより、なんて言うか、んー、優しい人でよかった」


知り合い?と聞き返そうとすると、
突然流れるインターホン。


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