なみだ雨
『あ、こんにちは。昨日はどうもすみませんでした』
『こんにちは。大丈夫です。あれからどうですか?ちょっと心配になって』
『今さっき起きました。呼びますか?』
『あ、いえ、大丈夫です』
落ち着いた雰囲気の、低い声。
はるかはドアをそろりと開ける。
ちょうど正面が玄関で、航平と話している人を見ると。
思わず体重をかけていたドアノブを離してしまって。
ズドン!という鈍い音。
「え、なんで」
それ昨日も言ってたよー。
という航平を他所に、
練が気まずそうにぎこちなく笑っていた。