なみだ雨
電話の相手は渚だった。
「もしもし、はるか?」
その途端、頭の中で何かが切れた。
ダムが決壊したように、
ダラダラと涙が流れる。
「昼間借りたノートごめん、返すの忘れてたわー、明日学校あるでしょ?明日でいい?ごめんねほんとー」
「うっうん、だいじょ…」
口を押さえる。
小さい嗚咽が漏れた。
「はるか?泣いてんの?どうした?」
「だっ、大丈夫明日で…。うん、だいじょ…大丈夫だから」
切るね、おやすみ、
はるかはそう言って電話を切る。
サイレントに設定して画面を伏せた。
「はる…」
練が名前を呼ぶと同時に、
はるかはリビングを飛び出して、
布団の上にうずくまった。
おじさんに探されてる、
おじさんに見つかりたくない、
はるかの堪えた小さい嗚咽は、
ふすまの外に届いていた。
携帯の画面が点灯していた。